ゾッとする手紙の話
送られた手紙が性癖晒しで、それにゾッとしながらも読み進める近藤局長がみたいなぁと思いました。でも、あの人もストーカーする並に頭おかしいから、なんというかどうしよう感ある。こういう話考える時に塞がるストーカーという愛の狩人の壁よ。
本編
ある日、近藤さんの元に一通の手紙がきます。普段、ラブレターみたいな私信なんかは土方さんや沖田くんがほとんどなんですが、この日の手紙は違ってたんですね。近藤さんは自分宛てなんて珍しいーと思って、差出人不明の手紙の中身を見ます。
時候の挨拶から始まり、近藤さんの活躍ぶりを称えるようななんの変哲もない内容がつらつらと並べられてます。そう思いきや、最後の一文、「あなたの親愛なる彼にもご自愛するようお伝えください」とあるんですね。
果て?誰のことだろうと近藤さんは不思議に思います。順当に考えると土方さんや沖田くんのことだろうと思いますが、わざわざ"親愛なる"という呼称をつけてることに、首を傾げます。また、差出人の名前が手紙の最後にもなく、誰かが分からない。気味が悪いとまでいかなくても、心がソワソワするような文で、近藤さんは手紙をそっと畳んで、机の引き出しに入れました。ちょっと見なかったことにしよう。
そして、それから数日後。
また、差出人不明の手紙がきました。あれから日にちは多く経っていないため、少し警戒心を抱きますが、好奇心がそれより上回り、手紙を読みます。
内容は前回と変わりないように思えましたが、締めの挨拶に「あなたの親愛なる彼は最近ますますご活躍されているようで何よりです」という文があります。ゾワっとする近藤さん。確かに最近は攘夷運動が盛んになり、真選組面々も忙しく駆け回ってるのです。やはり彼というのは真選組の誰かなのか?そして、その関係者、親族の者がこの手紙を出しているのか?それにしても、何故名前が……と、考えれば考えるほど不気味になる近藤さん。読み終えると、ひとつ息を吐き切ってから、手紙を畳んでまた引き出しにしまいました。大丈夫、と自分に言い聞かせながら。
そして、数日また数日と、手紙は送られます。内容はだいたい同じ。最後に、彼のこともよろしくというところまで。近藤さんは手紙に不気味さを覚えるもの、差出人がさす彼のことが誰なのかも気になってきました。意図が分からない手紙というのは、恐ろしくもあり、好奇心そそられるものです。近藤さんは手紙がくるのを少々楽しみにしていたのです。そして、何十通目かの手紙がきたある日、近藤さんはいつものように手紙を読んでいました。そして、最後の文章を見て、手紙を落としてしまいます。瞳孔は開き、歯がガチガチと音を鳴らします。寒くはないはずですが、自分を抱きしめその場に蹲ってしまいました。
バレた、バレていた。
何故、どうして。
ぐるぐると巡る思考。
がたがたと震える自分。
手紙の最後には
「あなたの親愛なる彼と久々に逢瀬したようで、心からお喜び申し上げます」
とありました。
ざっくりさっくりいうと、近藤さんは高杉さんと逢ってたんですね。高近です。ええ、高近ですとも。
きっかけはさておき、裏切りともいえる行為を近藤さんはずっとしてたんです。その行為を第三者が気付いていた。見られていた。どうしたらいいのか。自分はどうすべきなのか。近藤さんは今後のことを考えて、その手紙を抱きながら泣いてたらいいな。
まあ、そこから高杉さんと会って、この関係をやめるか?って言われたり、土方さんや沖田くんから心配されたり、お妙さんが的確にアドバイス兼説教したりするそんな話です。
手紙の部分考えるのが楽しくて、オチ考えずに呟きました。まあ、妥当に行けば、高杉さんと離別エンドですね。高さんもちゃんと近藤さんを愛してますよ。別れ話切り出しますが。いやー、高近はいいな!最初からクライマックスだから(???)
あとインスピ受けたのは、江戸川乱歩先生の『人間椅子』です。ドキドキしました。
2021-01-17
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