君と幸せになるために
沖近幸せチャレンジ最終!
近藤さんの手の甲にキスをする沖田くん。
「どうしたの、総悟」
「ごっこ遊びでさぁ」
「ごっこ遊び?」
「俺が騎士(ナイト)で、近藤さんがお姫様のごっこ遊び」
「えー、俺お姫様って柄じゃねぇよ」
「いいじゃねぇですか」
そして、おきたくんはこんどーさんの手をひっくり返して、手のひらにもキスをする。
「近藤さん、俺はね。近藤さんがいればそれでいいんでさぁ。俺の世界には近藤さんがいればいい」
「総悟...」
おきたくんはこんどーさんの手を両手で握る。大事そうに、大事そうに。
「なぁ、総悟。俺も総悟のことが大事で大事で大好きだ。それじゃあ、ダメなのか」
「ダメでさぁ。俺は近藤さんの隣にいたい。それだけでいいんでさぁ」
「そっか...でも、総悟。俺はもっとお前に世界を見てほしいよ」
沖田くんが手のひらを見つめてた顔を上げて、近藤さんを見る。ニッコリと笑う近藤さんに、沖田くんは分からないという顔をする。
「いろんな奴と出会って、いろんなこと経験して、この世界がどんなに広いか知ってほしいんだ」
「そんなこと知ってまさぁ。江戸にきて、それこそいろんな奴に出会って経験もしました。それでダメなんですか」
「ダメ。まだ足りねぇよ。もっともっといろんな奴に出会って、経験値稼いでもらわないと」
沖田くんは眉間に皺を寄せて、近藤さんの足に顔を乗せる。
「こんなのいつまで経っても近藤さんは俺の気持ちに応えてくれねぇじゃねぇですか」
「そんなことねぇよ」
沖田くんは近藤さんの足に顔を乗せたまま、目だけ近藤さんの方に向ける。
「俺は総悟のこと大好きだからさ」
「...…わかってねぇです、わかってねぇですよ、近藤さん」
沖田くんは悲痛な顔をする。近藤さんはそれを見て、ニコニコする。
沖田くんは近藤さんの愛を親愛と思い込んでいる。
「総悟、総悟。思ってるより世界は広くて、素晴らしいんだよ」
「もううるせぇですよ、近藤さん」
沖田くんは顔を近藤さんの足に擦り付けて、聞かないようにした。
総悟、お前が思ってるより俺はお前のことを愛してるんだよ。
それに気づけないお前の世界はまだ狭いんだ。
総悟、もっと世界を知ってくれ。
愛を知ってくれ。
それでも俺を選んでくれるというなら。
「俺は総悟とずっといたいよ」
沖田くんの頭を抱きかかえながら、笑う近藤さん。
あったかいなぁと、沖田くんも口元を緩めて目を瞑る。
2人だけの世界より、何千何億人の中で出会った2人の世界のほうが、幸せじゃないか。
なぁ、総悟。
おわり。
2018年10月28日
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